感染性胃腸炎｜さいたま市西区の小児科・アレルギー科　澤田こどもクリニック

感染性胃腸炎

感染性胃腸炎とは、ウイルスや細菌への感染が原因で起こる病気です。
それぞれウイルス性胃腸炎、細菌性胃腸炎と区別されますが、二つをまとめて感染性胃腸炎とよびます。

ウイルス性胃腸炎の原因となるウイルスには、ロタウイルス、アデノウイルス、ノロウイルス等があり、細菌性胃腸炎の原因となる細菌は、カンピロバクター、サルモネラ菌、ブドウ球菌等があります。

感染性胃腸炎の診断には、ウイルス性胃腸炎なのか細菌性胃腸炎なのか見極めることが大切です。受診時の症状や、発症前に食べたもの、生活環境を確認してどちらかを検討します。

ウイルス性胃腸炎の症状と治療

症状

嘔吐を伴うことが多い
下痢
発熱
便の異常
けいれん

突然の吐き気や嘔吐で発症し、1日～3日嘔吐が続いた後に下痢が始まることが多く、
下痢は1週間程度続くこともあります。発熱を伴うことは少ないですが、まれに高熱が出ることがあります。

症状

ウイルス性胃腸炎には、直接効果のある薬はなく抗生物質もききません。
ご家庭での安静・休養によって免疫力を回復させて症状の改善を目指す「対症療法」が主な治療となります。

細菌性胃腸炎の症状と治療

症状

主な症状が下痢であることが多い
強い腹痛
発熱
血便

ウイルス性胃腸炎と比べて、下痢や腹痛の症状が強く、高熱になることも多いです。また、血便がみられることもあります。
潜伏期間や治癒するまでの期間は、細菌によって異なりますが、ほとんどは3日～1週間程度で症状が改善します。

治療

症状が軽ければ、ご家庭でのこまめな水分補給と整腸剤の服用が主な治療となります。症状に合わせて、抗生物質が処方されることもあります。乳幼児の場合、下痢による脱水症状などのリスクが高く、強い脱水症状がみられる場合は、点滴や入院を検討します。

感染性胃腸炎の感染経路

接触感染

接触感染とは、感染している人の吐物や便に触れた手で口元を触ったり、
ものを食べたりして感染することです。

飛沫感染

飛沫感染とは、感染している人の嘔吐物や便が飛び散り、
病原となるウイルスや細菌が口へ侵入して感染することです。

経口感染

経口感染とは、病原となるウイルスや細菌が含まれる
水や食品を摂取してしまい、感染することです。

感染性胃腸炎の予防

感染性胃腸炎にかからないようにするためには、正しい手洗いと適切な食品の加熱が大切です。

正しい手洗い

手洗いをしていても、洗い残しが多ければ意味がありません。
特に洗い残しが多い部分は、指の付け根、爪側の指先、親指の手の甲側です。
正しい手洗いの目安時間は30秒とされており、ハッピーバースデーの歌2回分ほどです。
お子さんと一緒に歌いながら、楽しく手洗いをしましょう。

適切な食品の加熱

ウイルス性胃腸炎の病原となるウイルスの中で、最も感染力が強いノロウイルスは、85度～90度で90秒以上加熱すると死滅します。特に、ノロウイルスの発生頻度が高い二枚貝などの食品は、中心部までしっかり加熱する必要があります。
細菌性胃腸炎の病原菌は、主にお肉や卵に潜んでいます。
焼肉やバーベキューでお肉を食べるときには加熱具体に十分に注意しましょう。

受診のめやす

下痢や嘔吐の症状が軽く、食事もとれて元気な場合は、ご家庭でこまめに水分を摂取しながら様子をみても問題はありませんが、心配なことや気になることがあれば小児科の受診をおすすめします。
また、以下のような症状がみられる場合は、早急に医師による診断・治療を受けましょう。

1日に何度も嘔吐・下痢がある、嘔吐・下痢でぐったりしている
高熱が続く（生後3か月未満は38度以上、生後3か月以上は39度以上）
激しい腹痛が続く
血便が続く
水分とってもすぐに吐いてしまう
排尿ができない、涙がでない

受診にあたって、飲んだ水の量と食事の量、嘔吐・下痢の回数、尿の頻度を記録しておくとよいでしょう。

ご家庭で気をつけていただきたいこと

水分補給

水分補給には経口補水液をおすすめします。
普段からご家庭にOS-1やアクアライトORSなどを備えておくとよいでしょう。

嘔吐した直後の対応

嘔吐した直後は無理に水分をとらせず、眠れるようなら寝かせてあげても大丈夫です。
1時間程度経過して、吐き気が治まったときに少しずつ水分をとるようにしましょう。

少ない量を少しずつ接種

一度にお水を飲んだ後、その水を吐いてしまうと、お水と共に胃液も吐いてしまうため、逆に水分を失ってしまいます。そのため、一度に無理に水分をとるのではなく、吐き気がおさまっているときに1回5㏄程度のお水を、10分～15分間隔でとる方がよいです。

食事

経口感染とは、病原となるウイルスや細菌が含まれる水や食品を摂取してしまい、感染することです。

発症から1～2日

嘔吐の症状が強い間は、無理をして食事をする必要はありません。
ただし、脱水症を防ぐためにこまめに水分補給をしましょう。

発症から3～4日

嘔吐がおちついて食欲が回復したら、お米（おかゆ）、うどん、パンなどから食事を始めましょう。
脂肪分が多いお肉や、食物繊維が多い野菜は消化しづらいため、できるだけ避けるようにしてください。

衛生面

嘔吐物、便の処理

ウイルス性胃腸炎では、感染した人の嘔吐物、便から感染が広がります。
ウイルスを少しでも吸い込むと感染するため、嘔吐物が乾燥する前にすばやく処理することが必要です。処理するときは、使い捨てのマスクと手袋をつけ、消毒には塩素系消毒剤や家庭用塩素系漂白剤を使用します。また、トイレを流すときはふたを閉めるようにしましょう。